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身体が心にフィードバックするもの
日々身近な誰かと共にする『体験』は、やる気や生きがい、思いやりや人間関係にかかわる能力、つまり人の幸福度により大きく関係する能力の向上にも深くつながっているとされています。
英国で行われたある研究では、子どもが幼い時ほど『体験』が能力向上に大きく作用し、年齢とともに作用の度合いが小さくなっていくことがわかっているとのことですが、では成人してからの体験は、能力の向上や人の心の内面にまったく影響を与えないでしょうか。そんなはずはないのでは、とは思われないでしょうか。
農業と福祉の連携を目指す私たちのB型就労支援施設『もくもく農園』では、手を動かし、身体を動かす活動が日常の大きな部分を占めています。
去る7月5日(水)に市内氷上住民センターで行われた福祉関連の会合で、他の色々な事業を行っておられる同業者の方々の談話に耳を傾ける機会がありました。その中でこの「手を動かす、身体を動かす」ということに関係のある大変興味深いお話を聴くことが出来ました。
知的障がいや精神的障がいを持つ子どもや大人に、手先のぶきっちょさ、身体の動作のぎこちなさが見られることは珍しくないと聞いて、何かポテンシャルのあるヒントをいただいたような気持ちになり、また身体の動かし方から障がいの緩和へとアプローチしていく学問が欧州には存在すると聞いて、「人の中で何かが変わり始めるきっかけがそこにもあるのかも」という希望を抱かせていただいたお話でした。
苗を支柱に麻ひもで結ぶ(きつ過ぎず、ゆる過ぎず)こと、土を耕すことひとつを取っても、最初からうまく出来るとは限りません。ひもが短すぎた、何度かやってみてやっと結び方のこつがわかった。あるいは、最初は何やらやたらとしんどかった、あちこちが痛くなる、それがいつの間にか鍬の構え方も板につき、当たり前のようにリズミカルに耕せるようになり、今はそんなに苦にもならない、そういったいろいろな経験を日々の圃場ですることができます。
ひとりひとりの身体の動かし方の癖を矯正することで人間のさまざまな活動の中でのパフォーマンスを上げたり、心の動きの癖や考え方の癖を取り去るきっかけになったりすることの多いという『アレクサンダーテクニーク』のような確立されたメソッドとの比較は難しいかも知れませんが、本当はそこからあまりかけ離れていない何かが、農作業も含め、ひとのあらゆるシンプルな営みの中にすでにあるのかも知れません。
もちろん頭も使わなければいけないのですが、考えているだけでは何も始まらず、具体的に段取りをして身体を動かすことでやっと物事を前に動かしていける営みのひとつが農業です。そして、相手にするのは植物と自然、天候、病害、害虫や益虫です。こちらからそういったものの様子を見て何が必要か考え、ケアをしてあげなくてはなりません。
興味を惹かれたら、この丹波市春日町下三井庄のおおらかな自然の中で、私たちがどのように作業しているかぜひ見に来ていただけたらと思います。
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